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雄一老コーチとイー君の「とにかく,卓球を始めよう!」 |
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| イー君は卓球を始めたばかりです.町にある「雄一老卓球教室」に通っています.イー君は右利きでシェークハンドなのですが,フォアハンドもまだ上手く打てません.さあ,どれくらいうまくなれるかなぁ? | |
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| ■■■ 登場人物 ■■■ 初心者 : イー君 コーチ : 雄一老さん 友人 : ワクワク君, 近所のお姉さん: ひろ姉ちゃん いとこ : ヒロ君 先輩 : ブイブイ先輩 |
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| バックハンドの巻 | |
| 雄一老コーチ | イー君,今日は,特に熱心に卓球をしているねぇ. |
| イー君 | はい,いままでの復習をやろうと思ったら,力が入ってしまうんです. |
| 雄一老コーチ | でも,そんなに力を入れるとダメだよ.軽く,軽く. |
| イー君 | そうか,軽くですね.あっ,そうそう,今週からバックハンドを練習しているんだけど,どうも,うまくいかないんです. |
| 雄一老コーチ | バックハンドはフォアハンドの逆と考えていいよ.フォアハンドの時と同じで,円を描くように打てばいいんだ.でも,フォアハンドは肩から始まって腕全体で打てるのに対して,バックハンドは体が邪魔して肘から先だけの動きとなるよね.それを手首だけでカバーしようとするから不安定になるんだ. できるだけ手首を使わず,肘から先の動きで打ってごらん.それをマスターしてタイミングがつかめるようになったら,手首を使ってボールに変化(回転あるいはスピード)をつけるテクニックを覚えればいい.打球の安定度合やボールのコントロールの練習をするとき,スナップは使わない方が良いと思う. |
| イー君 | うん,うん. |
| 雄一老コーチ | 次のことをチェックしてごらん.
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| イー君 | チェックすることが多くあって,わかんないなぁ. |
| 雄一老コーチ | (笑いながら)「a」から「d」までいろんな事を言ったけど,それだけでは机上の空論なんだ,むしろ,これらの項目にこだわりすぎるのが一番良くない. 練習しながらいい感じで振れる様になったとき,これらことを思い出す程度で良い.そうでないと,「論語読みの論語知らず」になってしまう. ラケットを普通に構えて,バックハンド側に飛んでくるボールに対して直線の最短距離でボールに向かわせる.そのとき,ボールを地球と考えると,赤道の少し上あたりの西側(サウスポーは東側)を打つつもりで振ってみるといい.インパクトの後は,振りはじめの位置当たりへラケットを一気に引き戻すこと. インパクトが早過ぎると,相手のサイドを切ってミスになるけど,それはいい振り方だと思っていい.振り遅れると反対側(ストレート)へ飛んで行くけど,それでも良いと思う.重要なのは,頭の中のイメージトレーニングだけではダメ,身体で覚えること!! 要は,タイミング良くインパクトして,相手コートに正確に入れば,それが一番良い打ち方です.格好ではありません.手首を使って小細工しないことが大切です. |
| イー君 | わかりました.じゃぁ,しばらく練習をしてみます. |
| 『数時間ほど,練習をするイー君,それを見守る雄一老コーチ』 | |
| イー君 | (息を切らしながら),ハア,ハア,ハア,あー疲れた.コーチ,バックハンドの練習で少しわかったことがあります.えーと,僕が考えたのは,
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| 雄一老コーチ | (笑いながら),おお,沢山考えたね.じゃぁ,一つずつ考えてみようか. 「1.楕円に近い円打法で打つ.」 これは正解.さっき,円運動という言い方をしたのは,直線の往復運動のイメージを持って欲しくないからで,実際に「直線の往復運動」をしている人はほとんどいないと思う.三角形のスウィングも実際には円運動なんだよね.ただ,イメージで厳密な三角形にしようとして打つと,どうしても不自然になり,損になると思うんだ.それに比べて,円の動きは「エンドレス」だから,対応が早いんだ.ラケットの始動からインパクトまでが直線の最短距離を通り,引き戻す時にラケットが円を描いて,速やかに引き戻すことができるんだ. 「2.体の中心(へそ)でボールを迎えられるように,体を左右に移動する.」 これも正解.小さな動きで足を使って前後左右に移動するのは正しいけど,腰と膝を使って体の向きを変えるだけでへそにボールを見せる感じの方が得なんだ.へそにボールを見せることによってストライクゾーンでヒットできる確率が高くなる.でも,注意しないといけないのは,このへそにボールを迎えるようにするのは,練習中に意識することであって,試合中に何でもかんでも体の中心で打とうなんて思ってはいけない.意識しないで出来れば最高なんだ.無意識の内にできるようになるまで意識して練習すること,これが大切だと思うよ! 「3.ボールが体近くに来るまで十分待ってから打つ.」 これは半分正解.「体の近く」の意味を「ストライクゾーン」と言い換えれば,そのような場合もあるので間違っているとは言えない.でも,基本的には,ボールが体の近くに来るのを待ってはいけない.バックハンドはできるだけ早いタイミングで打てるように工夫する.「ボールがバウンドするかしないうちに打つ」くらいの感じが易しい打ち方なんだ.待てば待つほどボール自体のエネルギーがなくなるから,こちらがボールに強いエネルギーを与えないといけなくなる.つまり,強く振らないといけないよね.それに,待てば待つほどボールは落下してくるから,持ち上げなくてはならない,試合中に持ち上げてつなぐというのは「勝負を放棄して,参りました」と言うことと同じなんだ. それと,足でボールを迎えに行くのは良いけど,絶対,上半身(特に頭)だけでボールを迎えに行ってはいけない.足を使って,自分のストライクゾーンにボールが入るように動くんだ.この足の動きを「フットワーク」と言う.大きく左右に振られたボールには,誰でも動こうとするけど,この小さな動き(フットワーク)はなかなかできない. 普通は,フットワークと言うと大きく動くことが多いけど,実はそうじゃないんだ.試合では,相手が打ったボールに対して,早くその場所に動き,ゆったりと待てるようにしなくてはいけない.打てるところまでボールが来るのを待って打つと言うイメージは賛成できないなぁ. 「4.ボールを打つため,「国旗掲揚の手を胸に当てる」動きでラケットをへその近くに引く.」 正解でない場合もある.胸の近くに「引く」と言う言葉は正解だけど,「胸に」手を当てると限定してしまうと,半分間違い.球種によってはラケットを引く位置が上下左右に変わるのが普通だからね. 「5.あたかも「骨折ギブス」で固定したような感じで,手首を動かさない.」 これも,正解でない場合もある.「骨折ギブス」をはめて打つというのは表現上であれば正解に近いけど,固定する意識が力みにならないように気をつけないといけない.むしろ,柔らかくて強くと言ったイメージなんだよ.スナップは絶対に使わなければいけない.スナップと言えば,野球のボールを投げる際のスナップを思い出すけど,でも,野球のスナップとは手首の関節の使い方が違うから気をつけること.卓球では野球式スナップを使ってはいけない.インパクトで一瞬だけ使うのがコツだよ. ついでにグリップについて説明しておこう.グリップは柔らかくしっかり(理解しにくい難しい表現です)握る.ラケットを動かせている最中に何かに当たったら,ラケットが手から飛んで行くぐらいの柔らかさ加減がいい.ぐらぐらもいけないけど,ガチガチもいけない.柔らかくしっかり握ったグリップは,インパクトで強いエネルギーをボールに与えることができる.ボールをはじくことのできない「押して打つ」人の多くはグリップの堅さがその原因の場合が多い,インパクト時のラケットの動きが制限されるからなんだよ. 「6.「ボーイが客を案内する」動きで右の肘を動かすことなく,肘を中心に回転させて打つ.」 これは大正解.でも,「右の肘を動かすことなく」はちょっと要注意だなぁ. 「動かすことなく」のイメージはよくわかるけど,右肘を固定しようと逆に意識しすぎると,ぎこちなくなるおそれがある. 「7.振りの軌道は卓球台にほぼ平行に振る.ラケット面の傾きは最後に無意識でかぶるように振る.」 正解.最後はラケットの先端を回す必要があるね.自然にラケット面が被さってゆかないといけない.意識して角度を変えるのは良くない,ラケットの先端を少し回転させることによって,押しだけでボールを打つのとは全く違ってくる. ただ,ハーブボレーや突っつきだと,ラケットの先端を回さない打ち方をしないといけない場合もある.また.インパクトの瞬間に手首を内側に折って肘を中心に肩を使って回転させる打ち方もある.これは.相手にとってコースが読みにくい打ち方なんだ.台上のボールをいろいろなコースに打ち分けられる打ち方だけど,背が高くてリーチの長い選手は可能だろうね.日本が全盛期の時に泣かされた「シド選手(シエークハンド)」のバックハンドだよ. 「8.左足を右足より前に出して打つ.強いボールを打つときには,逆になる.」 大正解.強く振るために,右足(右利きの場合)を突っ込んで体の移動によってエネルギー増加をはかるのは当然だよね.でも,普通のラリーでは,左足が前でも,右足が前でも打てなくてはいけない.左足が前と固定してはいけない. つまり,状況に応じた打ち方をすると言うこと.それと,バックハンドで強打する場合には,左足(右利きの場合)が前では強く打てない.右足を踏み込んで体を移動させて,そのエネルギーとスウィングの速さでボールに対して強い衝撃を加えて打つ. |
| イー君 | いろいろとあるなぁ.もっと練習の時間が増えそう.ちっとも,上手くならないのに... |
| 雄一老コーチ | まぁ,そんなに焦らないで.時間は一杯あるんだから. |
| イー君 | は〜い,じっくりと練習します.えーと,それと実は,困っていることがあるんです.僕の悪い癖は,どんなボールが来ても,フォアハンド側で待つ癖がついちゃってるんで,始めから両肩が時計方向に廻っていて,バック側のボールに反応が遅れる.いつもこうなので嫌になっちゃう. |
| 雄一老コーチ | ボールが飛んで来る前に勝手にテークバックする癖がついているんだね,練習で身体正面のへその前で自然にラケットを構え(ラケットの先端がネットを向く様に),フォアハンドで振り,同じところ(へその前)へ戻して来て,バックハンドを振る.そんな動作が自然とできると良いね.そうすると,ボールがどこへ来ようが対応できる.そのとき,大切なのは,戻す事を意識しすぎないこと.そして,ボールが床につくか,ネットに引っかかるまでは,ラケットの動きを止めないこと.技術の問題ではなく意識の問題かな.卓球を始めて,基本練習と称してフォアハンドばかり練習している人にこの癖が多いよ.ゲーム練習から入った人には先ずこの癖を持っている人はいないよ. |
| イー君 | 意識の問題か... |
| 雄一老コーチ | 初心者は,スウィングをイチ,ニイ,サンと振っていては間に合わないので,どうしてもボールが来る前に先にラケットを引いて準備してしまう.これが怖いんだ.いつもへそ前のニュートラルの位置に戻っていると,ボールがどこへ飛んで来ようと対応できる.自分の打ったボールが相手コートに入るまでに,次の構えができる感じになれば,こちらはゆったりしていて,相手は忙しい.先手をとって,チャンスボールを作って強打一発なんて,最高に楽しい卓球ができるよ. |
| イー君 | それ,最高!! |
| 『ブイブイ先輩とワクワク君が,ガヤガヤと卓球場に入ってくる.』 | |
| ブイブイ先輩 | (歩きながら,ワクワク君に)昨日,本を読んでいて興味あるものを見つけたよ.荻村伊智朗氏の「試合に勝つ51%理論」と言うのがあってさ,ボールの命中率が51%だったとしても致命率が100%なら,最終的に必ず勝てると言う理論なんだ.命中率とはボールをコントロールできる割り合いで,致命率とは破壊力やスピード(回転の要素も含めて)の割り合いなんだ. |
| ワクワク君 | へえー,なんか,難しい理論だから,あんましわかんないけど,ビイビイ先輩,尊敬しちゃう. |
| ブイブイ先輩 | ビイビイじゃない,ブイブイ!! |
| ワクワク君 | あはッ,いつも,ビイビイ,ビイビイ言ってるから,ビイビイ先輩かと思ちゃった. |
| イー君 | (思わずつられて)ははは. |
| ブイブイ先輩 | こら,イー之介.何が,おかしい! |
| イー君 | (びくっとして),いえ,何も.... |
| ワクワク君 | あはッ,怒られよった,やーい,やーい! |
| イー君 | (ワクワク君を睨んで) |
| 雄一老コーチ | まあ,まあ. |
| イー君 | (気分を取り戻して)コーチ,ある友達が「バックハンドは直線で引いて直線で打つ」と言っていたんだけど,これって,本当の直線ではなくて,細長い楕円のことだと思うんだけど,そうですよね? |
| 雄一老コーチ | その通り!! 繰り返しになるけど,「引く」と言う意味にはいろいろあって,その中には,ボールが飛んでくる飛行線上で本当に直線的にテークバックを引いて打つ場合もあるんだ.でも,これは一発で勝負する場合で,戦いを進める技術ではなくて,むしろ戦いを決める打ち方だよね.だから,その友達が,戦いを進めるための打ち方として直線的に引いて直線的に打つと言ったとすれば,それは間違っているね.ミスの確率が高くなるからね.それと,基本は円運動だけど,振りはじめから丸く振ったとしたら間に合わない.だから,振り始めてからインパクトまでを最短距離で,直線に近い円で振らないといけない.どんな場合でもボールに対してラケットを遠回りさせてはいけないからね. |
| イー君 | はい,良くわかりました.それと,その人はバックハンドも左足前で打つべきと言っているんだけど,打つコースと打つ強さによって足の位置を変えるべきじゃないかと思ったりもしているんだけど,それでいい? |
| 雄一老コーチ | 良いところに眼をつけたね!! 足の位置を変える必要があるんじゃなくて,身体の向きを変えなくてはいけない.身体の向きを変えると足の位置も変わると考えていい.「逆Tの字理論」と言って,イー君のいとこのヒロ君がそれを身につけようとして,イメージと実際にボールを打つのと両面で練習しているよ. |
| イー君 | ヒロ君が? |
| ブイブイ先輩 | 俺が思うに,バックハンドがフォアハンドに比べて苦手と言うのは卓球を始めたときバックハンドの練習をしないで,フォアハンドの練習に重点を置いたからさ.シェークスタイルだと,バックハンドの方がフォアハンドに比べて腕の動きが制限されるからフォアハンドより易しいはずだよ.フォアハンドは自由に腕が動くからかえって難しいからね.フォアハンドを武器にする人もいれば,バックハンドを武器にする人もいる.それぞれ,好みが違うってわけさ. |
| イー君 | うん,うん. |
| ワクワク君 | さすが,理路整然.すごい,ブウブウ先輩! |
| ブイブイ先輩 | ブウブウじゃない,ブイブイ!! |
| イー君 | (笑いを堪えて)そ..う..だ..よ. |
| ワクワク君 | 僕もいまバックハンドの練習中なんだけど,バックハンドもフォアハンドも「テークバックなしのスウィング」を心がけてんだ.特に,バックハンドのテークバックは右肘が体から離れるだろう,それがラケットが一瞬止まって打ちにくくなる原因と思うんだ.だから,ラケットが止まらないように打つには,どうしたらいいのか? そう考えているんだ.僕の練習方法は次のようにすること(右利きだとして),
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| 雄一老コーチ | ワクワク君の考え方は間違ってないと思うよ.でも正しいとも思わない,人それぞれの感覚だから,正しいとも間違っているとも言えないんだ.一生懸命に練習していると,その日によってこんな感覚で打ったらいい感じのボールが打てることを見つけては,毎日「目から鱗」を落として毎日「開眼」するんだよ. その意味では,本気で練習する人は目から鱗が落ちる回数が多いと言えるね. 良いボールが打てると感じた時は「より良い打ち方」をしていて,その時点では正しい打ち方だと考えて良い. ワクワク君が練習を真剣にすればするほど,目から鱗が落ちる,すなわち「開眼」のレベルが徐々に高くなって来て,練習のレベルと試合のレベルが同じになる.だから,いまはワクワク君の練習方法を続けたら良い.特に,「3.の左右に揺らす」と言う意味は,小さな両ハンドを連続で振ると言う意味だと思うけど,これは良いね.フォアハンドを振って,そして次にバックハンドを振る.逆に,バックハンドを振ってからフォアハンドを振る.それを連続早く振る練習をしてみてごらん,たぶんへその前で丸く振れてるはずだよ. でも,気をつけてね.いくら練習で良い感じで打てても,試合中にその感じで打てないと意味がない.試合が肝心なんだから. |
| ワクワク君 | わかった.でも,また誉められちゃった.やっぱし,僕は,天才だね. |
| イー君 | (何も言えず)...... |
| ブイブイ先輩 | ボールの威力はスピードと回転からなるんだ.つまり,その人のボールのパワーを10とする.1のスピードに9の回転の威力のときと,9のスピードに1の回転の威力とは,ボールの種類が全然違ってくる.つまり,
ボールの威力の基はスウィング(振り)の速さにある.振りが速ければ速いほど威力のあるボールを出せる.スウィング(振り)はテークバック,インパクト,フォロースルーの3つから成り立っているけど.飛んで来るボールを見て,どれだけの威力,スピード,回転かを予測して,それをどれだけのスピードと回転でどの方向に打ち返すかを見極める.このどのようなボールを見極めることによって,こちらの打ち方(スウィングと角度)も違ってくる.「ショートのごとくバックハンドは小さくていい打ち方もあるけど,テークバックをしてないわけじゃない.」 ワクワク君はそれを理解しないとダメだ.良いボールが出ていると言うことは,テークバック,インパクト,スローがきっちりできているはずだから. |
| ワクワク君 | (はしゃいでいたが)あれっ?? |
| 雄一老コーチ | ブイブイ君,いいこと言うね.「ショートのごとくバックハンドは小さくていい打ち方もあるけど,テークバックをしてないわけじゃない.」
その通り!! ボールをラケットに当てて普通に飛んで行くなら,テークバックは立派にとれているんだ.例えば,カットマン相手に小さく止めたいストップでも,きっちりとしたテークバックがないとボールをコントロールできない.でも,気をつけてね.ボールを打ちながら,テークバックがどうの,インパクトどうの,フォローがどうのと意識すると打てなくなる.例えば,「歩くときは,左手を前に出したときは右足を前に出し,右手は後ろ,次はその逆」なんてことを言われても,歩けない.それと同じ.自分のイメージにあったボールが打てているときには「テークバックもインパクトもフォローもいい振りをしている」と思うように考える方が良い. |
| ワクワク君 | えーと,僕の言う意味は,体に近いボールはテークバックを使って打つ感じなんだけど,近くないときは,テークバックなしで打とうと思っているんだ.と言うより,そのときは,打つ姿勢でラケットを右腰前に持って行っているから,それ以上のテークバックは手に関してはいらないと思う.えーと,つまり,「手」をそれ以上に動かすと言うときは,より強いボールを打つために最速に打ちたい軌道にそって球に向かわせるときだけだと思うんだ.いまやりたいスウィングができるわけじゃないから,なんとも言えないけど,威力を犠牲するとかじゃなくて,安定性や威力がどっちも前より大きくなるようで,期待しているんだ. |
| 雄一老コーチ | それはいい感じだね.そのとき,左足を踏み込んで振ったら,よりワクワク君のイメージに近い威力のあるボールになると思うよ.でも,それは自分ではテークバックのないスウィングをイメージしているつもりでも,必要で適当なテークバックが取れているんだよ. 真にテークバックなしのスウィングだと,二度打ちの感じになって,ものすごく変なボールになる.振ったわりにはボールはあんまり飛んでいかない.ワクワク君の場合は,テークバックをとらないと言うイメージが,実は良いタイミングになっているんだろう.ラケットを引くだけがテークバックじゃないからね.全く手を引かなくてもテークバックは取れる.次のことをやってごらん.
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| ブイブイ先輩 | そうそう,そうなんですよね.前から,このエネルギーを与えるための「タメ」を言葉で説明しようと思っていたんだ.卓球では,この「タメ」が重要なんだけど,それは剣道の「見切る」みたいなもので,言葉でなかなか説明できない.えーと,それは「エネルギーをためる」ってことだな.そうそう,「ためる」って言うこと.そう言うことなんだよな.(自分一人で納得して)これはわかりやすい表現だなあ.いいねー,これ.どうだ,イー之介,わかりやすいだろう? |
| イー君 | う,うん. |
| ブイブイ先輩 | 特に,この「ためる」がないと,突っつきやカットは絶対に打てんからな.(ワクワク君に)わかるか? |
| ワクワク君 | まあ,何となく. |
| ブイブイ先輩 | 何となく? |
| ワクワク君 | アハッ,そんなことないよ,良くわかるよ. |
| ブイブイ先輩 | そうだろう,そうだろう.わかるはずだ.いいか,どんどん自己流になっていったらいかん.世界に通用する自己流はいいけど,街の自己流は,全然,ダメ,とっても始末が悪い.確かに,自己流で強い人はたくさんいる.試合でそんな人と当たって,何であんなのに勝てないのと悔しいけどそれは仕方ない.試合はいいんだ.でも,俺はそんな人とは練習したくない.自己流の人と練習しても楽しくないし,調子が狂ってしまう.上手,下手じゃないんだ.自己流の人は自分で自己流とは思っていないからね.そんな人が,練習をやろう,やろうと皆に声をかけたとしても,誰もやりたがらない.決して自分のためにならないからね.(眼を輝かせて熱く)ワクワク君には,絶対にそういう人には,なって欲しくないんだ!! |
| ワクワク君 | (ブイブイ先輩の手をとり)ブリッコブリッコ先輩!! |
| ブイブイ先輩 | ブリッコブリッコじゃない,ブイブイ!! |
| イー君 | (笑いを噛みこらして)プフッ!! |
| 雄一老コーチ | (堪りかねて)ものすごく癖のある人との練習も必要かも知れないね.特に,ゲーム練習をね.確かに,変な回転のボールがいろんな所へ飛んでくるから,ラリーは続かないし面白くないけど,そんな人でも試合に出るからね.試合で勝とうとするなら,逆に,そんな人は絶好の練習相手と思わなくっちゃ. |
| ブイブイ先輩 | はい. |
| イー君 | はーい. |
| ワクワク君 | ワーイ,ワーイ,もっと練習,もっと練習. |
| ブイブイ先輩 | よーし,みっちり鍛えてやる!! |
| 雄一老コーチ | ハハハハハ.... |
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