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雄一老見聞録

第五回 『試合に強くなるには?その四』(子供の成長についての一考)

 始めてラケットを持った子が、サービスの練習から始めて、少しサービスの要領を覚えて相手コートへ入る確率が高くなって来たところで、一番下のリーグに入れて、そこからは試合でいろんな事を覚えさせます。

 最初のうちは2-0のテンハンで負けていますが、少し時間が経ちますとテンハンが、13・14・15となって、そのうちにセットーオールになり、勝ったり負けたりになって来ます。
 負けると下のリーグに落ちるが、勝てば上のリーグに上がれるというちょっとした競争原理を取り入れて、リーグ戦形式で試合をさせていますと、その子なりに一つでもよけいに勝って上のリーグに上がりたいのでしょう、いろんな工夫をしているのが試合の中に見えて来ます。
 これは見ものですし、又見ていて楽しいものです。

 ただ、何となく試合をする子と違って、何とか勝とうとして試合の中でいろんな工夫をしている子供からは、ポイントの取り方などに何等かの意志を感じとる事が出来ます。
 ポイントがとれる、とれないでなく、何をしょうとしているのかを感じ取ることが出来ます。
 それが、正しかろうが、間違っていようが、何かを感じさせて呉れるようになりますと ニヤリ!「一皮むけた」と、うれしいものです。

 現時点での、未熟な技術の範囲の中でいかにして試合に勝とうかと工夫している姿は見ていて楽しいものです。
 サービスミス・レシーブミスをしながら、ろくに打てないフォアハンドを振ってはミスし、打たれれば何とか止めようとして、ラケットを出すが当たらない!!

 そんな試合を、たくさん、たくさん経験させて、その経験の中から自分なりの試合の勝ち方を自分流につくり出させることが大切だと思います。

 そこで肝心なのは、目に見える部分的な技術の向上も大切ですが、目では見ることの出来ない技術(戦略・戦術)は、より重要だと思います。その重要性を知らないで、ただ練習すれば強くなれると一生懸命ボールを追っかけている子供に対して、考える事 (戦略・戦術)の重要性を認識させることが大切だと思います。

 これこそ大人の重要な役目ではないかと思います。
 試合中の戦略・戦術が間違っていようが、正しかろうが構わないと思います。何かを考えながら、何かを意識して試合や練習をして欲しいのです。
 何も考えないでただ漠然と練習している子をそのまま放っておくと、現象は少し違いますが、前回で書きました私と同じような道を辿るのではないかと気になります。
 目に見える部分的な技術は、いろんな練習方法がありますが、目に見えない頭の中の技術(戦略・戦術)は、本人に意識させた上での公式戦・本気でのゲーム練習によってしか身につかないと思います。
 なかにはまともに打てないのに、最初から勝つ事への執念からか、本能的に、バックに顔を向けて、フォア側に打つ子もいます。このような子には滅多にお目に掛かれませんが、こうゆう子の卓球は見ていて面白いですし、また成長を楽しめます。

 部分的な技術(たとえばドライブ等の部分的な技術)の向上よりは何処へ入れたらポイントになるのか?とか、どんなボールが有利に戦えるのか等の

「考える」ことの

 習慣を付けさせる事の方が大切だと考えています。

 最初は幼稚な考え方をしていますが、否定しないでその幼稚な考えを認めて、そして、誉めちぎってやることが大切だと思います。何かを考えることが重要であって、仮にその考え方が正しくなくても、何かを考えた事への誉め言葉が必要だと思います。

 幼稚で間違っていても、受け入れてやることによって、また誉めてやることによって、考えることは大切な事だと認識させることが出来ます。

 初心の頃は、誉める事が進歩の一番の栄養になっているようです。
 こちらからいろんな事を質問して、子供達にゲーム内容などの話をさせる事が出来ればいいのですが、話しやすい雰囲気をつくって聞き役に廻ってやれたらと思うのですが、これがなかなか難しいのです。
 どうしてもこちらからの一方通行の話の方が多くなってしまいます。
 大人の一方通行の話し(子供の立場では説教になるようです。)は大人の自己満足にすぎない事は解っているのですが、ついつい言ってしまいます。
 いつも後で無駄な事をしたなと自己嫌悪に落ちます。無駄なら良いのですが、悪影響を与えないとも限りません。

 考えることによって進歩する頭の中の技術は、対戦相手の目には見えません。当然相手は試合前に対策を立てる事は出来ません。

 戦略・戦術(目に見えない技術)は勝負がつきそうな頃なって始めて相手に気づかれるかも知れませんが、気づいたとしても時すでに遅しです。
 と言うことは有利に試合を進めることが出来、しかも勝利の可能性を高くする事になります。

 また、負けた!!悔しい、何が足りなくて負けたのか?次に対戦するときはどのように戦うのか?全く技術的に劣っているのか?ではどうすれば良いのか?

 いろんな事を考えさせることによって、目に見えない技術の向上が計られると思いますし、また、自分に足りない部分的な技術を見つけて次の試合までに自発的にその部分的な技術の向上の為の練習を始めると思います。

 何かが足りないと分かった上での練習ですので、楽しい練習だと思いますし大いに能率は上がると思います。

 自分流の卓球を自分で工夫してつくり上げようと努力している子供は、見た目にはそんなに強くは見えないのですが、試合をするとなかなか負け難い試合をします。

 人に頼らないで、自分で工夫して自分流の卓球をつくり上げて行ける子は、将来自分で自分の道を切り開いてゆくことの出来る逞しい社会人になって呉れると思います。

 そのお手伝いをするのが、大人の役目ではないかと思います。


 続く

雄一老(yuu@Pingpongfan.net)


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